病院・法人紹介

病院長あいさつ

平成22年8月2日

いちはら病院 病院長 池田 耕太郎

「外来でパソコンの打ち込みばかりに気を取られ、患者のほうを向いてくれない医者が増えた。」なんていう声をよく耳にするようになった。ちゃんと患者さんの顔をみて診察にあたらなければ信頼も得られないだろうし接遇の面からもよろしくない事だとか・・。確かにその通りだ。

レントゲンがフィルムレスになりパソコン端末で閲覧可能となり、また診療指示(オーダリング)が紙の指示箋からパソコン端末での処理となった。レントゲンフィルムを見るためのシャウカステンはほとんど出番がなくなった。因みに当院の手術室にはシャウカステンは無く、かわりにパソコン端末と大きな壁掛けテレビモニター(BRAVIA by SONY)が設置されている。レントゲン、CT、MRIどれも保管場所を気にする事なく、昔のフィルムも即座に閲覧できることは非常に便利だ。

外来でのパソコン操作はブラインドタッチができれば解決される問題ではない。なぜなら要求される操作の多くはマウスでのカーソル移動&クリックなのだからブラインドでは100%無理な話し。カーソルの移動先の間違いはそのままオーダーミス、即ち医療ミスに直結するのだから細心の注意が必要となる。患者さんのほうを向いたままこれを行う事は医療現場の責任者としてはむしろ禁じたいくらいだ。結局は限られた診察時間内にパソコン入力と診察を手際よく両立させるしかない。

当院ではまだ電子カルテは導入していない。現在パソコン入力を用いている環境は「カルテ」ではなく画像閲覧とオーダリングシステムである。なので診療業務には手書き作業の部分がまだ多く残っている。最近ようやくオーダリングシステムに慣れてきたが院内環境はペーパーレスにはほど遠い状態だ。むしろ指示印刷物が増えた分、昔よりも紙の消費が増えているような気もする。これが全てパソコン入力に置き換わるのはそう遠くない将来(の予定)だが、電子カルテそのものの導入については各科医師、看護師、事務方等と十分に議論した上で行くべき大事な案件だ。入力の手間が最小限となるように医師ごとにカスタマイズすることも大切なのでソフト開発担当とも話し合いが必要だ。先ずは入院カルテで様子を見て、その後外来カルテへ上手く移行できれば良いのだが・・。石橋を叩いて渡る気持ちで慎重にすすめていきたいと思う。

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